vol.9


2020年9月10日発行

目次
コロナ禍のイタリアで
教えて!メビテンさま
カルカソンヌワールドカップ2020
ボードゲームカフェ支援
あだちのコラムだYEAH!!!


配布場所
メビウスゲームズ /テンデイズゲームズ
配布に関するお問い合わせは、CONTACTよりお願いいたします。


 特別リポート

vol.9の巻頭で「クラニオクリエーションズ」のチーフ編集者ジュリアーノ・アカッティさんより、コロナ禍のイタリアについて寄稿していただきました。
メビテン!編集部では、さらに現場の声をお届けするべく各国の関係者に質問を送り回答をいただきました。
ボードゲームの果たす役割や近況などを含め、日本に心温まるメッセージが届きました。

ドミニク・メツラー(SPIEL代表)
ライナー・クニツィア(ゲームデザイナー)
フランク・ノアック(ドイツの大手オンラインストア代表)
ベルンド・アイゼンシュタイン(ドイツ・ゲームデザイナー)
フィル・ウォーカー・ハーディング(オーストラリア・ゲームデザイナー)


ドミニク・メツラー(SPIEL代表)

私はSPIELを運営するFriedhelm Merz Verlagのドミニク・メツラーです。

Friedhelm Merz Verlagは、37年間、SPIELの運営を行っており、従業員は4名です。
昨年のSPIEL 2019は、国内外から20.9万人の来場者がありました。また、世界53カ国から1200にも及ぶ出展者が参加し、数多くのゲームを展示してくださいました。
展示会場は、86000平方メートルにも及び、世界最大級のボードゲームフェアになっています。

私たちが今年開催するSPIEL.degitalについてお話しさせていただきます。

今年のはじめ、コロナウィルスのことはそれほど真剣に考えていませんでした。そう、すぐに終息すると思っていたのです。
3月、4月になると、コロナウィルスは、まさにパンデミックと言える状況にあることが明らかになってきました。
また、すぐに収まることは難しいことが予想され、ドイツでは公衆衛生に関するルールが決められ、2020831日まではイベントの開催ができないことになりました。

そして、私たちは今年のSPIEL開催を見送り、延期することにしたのです。
と同時に、デジタルでのフェアを開催することを決めました。

私たちは以前からデジタルでのアプローチについても取り組んでいたのですが、今回決まるまでは、あくまで「付随するもの」でしかありませんでした。
延期について、来場者はもちろんのこと、多くの出展者もショックを受けていました。
多くの小規模出版社にとって、SPIELは、かなりの部数を販売するためのとても重要なイベントなのです。
私たちは責任を痛感し、特に小規模出版社のゲームをファンに知ってもらうために何かをしなければならないと考えたのです。
そのために、長い時間をかけSPIEL.digitalの準備をしてきました。もちろん、販売のための場も整備しています。
SPIEL.digitalでは、世界中のボードゲーマーにとって初めての体験が待っています。
41カ国から出版社の出展が決まっており、すでに長い時間をかけ、集中的に準備を進めています。
大手出版社はもちろんのこと、中堅、小規模な出版社も新作のボードゲームやカードゲームを発表し、いくつものオンラインイベントを通じ、この祭典を祝ってくれるでしょう。
そして、バーチャルなゲーム卓がゲームファンを待っています。実際のイベントと同様に、新作を試遊することができるのです。
ゲームを紹介する担当者がいなくとも、サマリーやヘルプが提供され、ボードゲームアリーナやテーブルトピアのようなオンラインプラットフォームで、愛好家たちはゲーム卓について遊ぶことができるでしょう。どちらのプラットフォームも、SPIEL.digitalを訪れた方々へは無料アクセスが提供されることが予定されています。
新作を購入することも可能です。
SPIEL.digialは、無料でお楽しみいただけます。
公式の配信は、ドイツ語、英語、フランス語、スペイン語、ロシア語で行われる予定です。さまざまな内容が配信される予定です。
SPIEL.digitalは、今年、世界でもっとも重要なゲームイベントになることでしょう。
多くの部分において短期間で実現することは容易ではありませんでしたが、私たちは出来る限りのことを行いました。


ライナー・クニツィア(ゲームデザイナー)

私はライナー・クニツィア。ゲームデザイナーです。これまで700を超えるゲームを作ってきました。

ニュルンベルクトイフェアのあと、コロナウィルスの状況があちこちで悪化しはじめました。
ドイツの政治家は、この危機に対して合理的に対処したと思います。
感染拡大後、人々はオンラインゲームや一人で遊べるアプリを遊ぶ機会が多くなったように思います。
しかし、もちろん、家に留まることが多くなり、家庭内でこれまで以上にボードゲームが遊ばれるようにもなりました。
私の仕事において、3月からテストプレイがほとんどできなくなり、これが私にとって、もっとも影響を受けたことと言えます。
大きなイベントも中止されました。これは避けられないことです。
対処がうまく進めば、すぐに以前と同様に開催されるようになるでしょう。
私は、この状況は一時的なものであり、すぐに誰もが再び顔を合わせて遊ぶ機会が得られるようになることを願っています。
もちろん、コロナウィルスがもたらした、オンラインショッピングや在宅勤務、さまざまなことのデジタル化といったことは、これからも続いていくでしょう。

日本のファンのみなさまの健康を願っています。
コロナウィルスの危機が去るまで、健康に気をつけながら、ゲームを楽しみましょう。
また、日本でみなさまにお会いできることを願っています。


私はHppyshopsのオーナー、フランク・ノアックです。

私たちは、ドイツ最大級のオンラインショップSpiel Offensiveを運営しています。また、Corax Gamesという出版社も運営しています。

感染拡大が始まった時、カフェやバーは閉鎖され、路上から人影はなくなりました。
生活必需品を扱っていない店も閉まり、食料品を買いにスーパーマーケットに行くことも簡単ではありませんでした。
マスクが必要なことはもちろんのこと、入店人数に制限が課せられるようになりました。赤ちゃんを連れ、カートを二台使って買い物をするような人もいました。一人当たりのカートを制限することで客数をコントロールしていたのです。
また、家族以外の人と会うことも制限されていました。
今、私たちはウィルスのことをより知るようになり、いくらかは物事が楽に進められるようになりました。
しかし、まだまだ普通の生活とは程遠い状況にあります。

コロナウィルスがゲームシーンに及ぼした影響でもっとも大きなものは、フェアがなくなったことでしょう。
ドイツのゲームシーンやゲームクラブにとって、フェアはとても重要なものなのは言うまでもありません。
ゲームクラブについて・・・染拡大当初、多くのクラブは活動が制限されました。今は少しよくなっていますが、以前のようには活動できていません。

私たちの仕事環境もおおきく変わりました。
現在、スタッフの大部分が自宅で仕事をしています。
また、倉庫のスタッフは、感染のリスクを最小限に抑えるため、シフトを分けています。
ショップとしては、はじめてデジタルフェアを開催し、17000人以上の参加者がありました。これについては、大成功と言っていいでしょう。
オンラインショップは、「ブーム」と言っていいかもしれません。特にパズルに関しては、とても売れました。
このように、幸いなことに、この危機の中で業績だけ見れば順調だったと言えます。
一方、出版に関しては、小売店が休業していたこともあり、非常に厳しい状況にありました。
多くのイベントが延期や中止となったのは、残念ではありましたが、一番いい選択肢であると思っています。
ウィルスの拡散を防ぐことは効果があると思いますし、そういう点でとても合理的です。
また、ドイツでは、Covid-19に関する規制の中でイベントを行うためには、通常時よりも4倍のブースを用意しなければならず、スタッフも2倍にする必要があります。そして、お客様のためにも充分なスペースを用意しなければなりません。
この負担はとても大きく、これは出版社やショップの観点からは、不可能と言わざるを得ないでしょう。
今の状況が続くようなら、イベントが大きくなることはなく、より小さな規模のものが多く開催されていくことになるでしょう。デジタルイベントもより一般的になるでしょう。
さまざまな制限に対処しやすいゲームカフェやゲーム会がより身近なものになるかもしれません。

ワクチンが開発されればこれまでと変わらないシーンに戻ると思いますが、対処のひとつでしかないことを考えると、デジタルイベントやカフェの存在価値は高まると思います。
大変な状況ではありますが、多くのゲームファンにとって悲観的である必要はないと思っています。

感染拡大の一方で、多くの人が自宅でゲームを楽しむということを知りました。
制作を積極的に行うゲーマーも多くなりました。実際、この数ヶ月に、私たちはこれまでにないくらいの試作品を受取りました。
このことから、2021年はボードゲームにとって非常に充実した年になる可能性が高いと感じています。
新しい国際的なゲームイベントにも期待したいですね。


私の名前はベルンド・アイゼンシュタインです。53歳。

2009年に、個人出版のためにIron gamesを立ち上げ、「ペロポネソス」を発表しました。その後、毎年、新作を発表しています。

コロナウィルスによって、環境は大きく変わってしまいました

SPIELのようなイベントで自ら販売することが出来なくなり、すべてをショップや流通を経由させなければならず、ゲームひとつ当たりの利益がとても小さくなってしまいました。これは私がビジネスを継続していくためには、とても大きな問題です。
ただ、今でも多くの人がゲームをプレイし、新作を楽しみにしてくれています。これはとても喜ばしいこです。

ドイツにおいては、3月に感染拡大がはじまりました。
社会的な活動が止められ、家に留まる必要がでてきたのです。
そのため、Iron gamesでは、テストプレイがまったく行えなくなってしまいました。妻とのテストプレイや、テレビ会議を用いてのテストプレイは行っていましたが、二人プレイしかテストすることができませんでした。
6月、7月から、ようやく3人以上でのプレイをテストすることが出来るようになりましたが、少ない時間でテストプレイの回数をこなすのは大変でした。
最初に述べたように、私にとってSPIELが延期となったことはとても大きな痛手です。
というのも、私のような小さな出版社は、来場者にゲームを直接紹介し、触れてもらうことが重要だったからです。
それを補うために、マルチメディアプラットフォームのノウハウを持つような会社では、ビデオなども用いてゲームの紹介をしているようです。
早く元の世界に戻ることを願っています。
そうでなければ、ゲーム制作を続けられかどうかわかりません。
私のような小さな出版社は、新作を販売することによって今後の制作費を得ています。しかし、現状、このやり方で継続するのはあまりに大変だと言わざるを得ないのです。

Iron gamesの作品を気に入ってくれている日本のみなさま、過去に私のゲームを楽しんでくれたみなさまに感謝します。
これからもまたみなさまに喜んでいただけるゲームを発表できるよう、頑張っていきたいと思います。
まずは今年の新作を楽しんでいただけたら嬉しいです。
「パンドリア:拡張 商人」は、すでにご好評いただいています。
「パクト:拡張 冬」は、6人プレイに対応し、ゲームの可能性をより高めてくれます。私もとても気に入っています。
日本の方にも気に入ってもらえることでしょう。


私は、フィル・ハーディング。オーストラリア、シドニー在住のゲームデザイナーです。

これまで、スシゴー!、ギズモ、イムホテップ、クマ牧場、考古学カードゲーム、ダンジョンレイダースといった作品を発表してきました。
コロナウィルスの感染状況だけを見ると、私の住むオーストラリアは、幸運だったかもしれません。
早期に国境を閉鎖し、何週間も自宅に留まることが奨励されたからでしょう。
これらは非常に効果がありましたが、最近になって、大きな都市で第二波と言えるような状況になったことは心配です。
ただ、対策が強化され、その効果は出ているようです。
感染拡大が始まった頃は、多くの人にとってとても不安な時期だったでしょう。
私は幸いにも生活や仕事に直接的な影響はなく、非常に感謝していますが、もちろん、私の周囲のより弱い立場にある人たちのことはとても心配に思っていました。
コロナウィルスの感染拡大によって、オーストラリアでは、ゲームサークルような集まりは中止が余儀なくされました。
今では、小さな規模であれば集まれるようになり、多くのゲームファンが喜んでいます。
オンラインにおけるボードゲームの楽しみ方を見いだした方も多くいました。
Zoomでパーティーゲームを楽しんだり、Boardgamearenaのようなサイトでオンライン対戦を楽しんだり-自宅でできる新しいソーシャルアクティビティを探していた人がボードゲームを知り、シーン自体は少し盛り上がったと言えるでしょう。これはとても興味深く、喜ばしいことでもありました。

仕事に関して-私の仕事内容に変化はあまりありませんでした。
出版社は、オンラインでのミーティングや、特別なオンラインイベントなどで私をサポートしてくれました。
しかし、最大の問題点として、テストプレイが難しかったことがあります。そのなかで私は妻とテストプレイを行うことが出来たことは、とても感謝しています。

多くのイベントが中止になったこと-これは正しい選択だったと思います。
しかし、今年、業界に与えたその影響の大きさは計り知れません。
私個人としては、SPIELが世界の方々と直接会うことの出来る数少ない機会のひとつであり、この機会を逃したことはとても残念なことですが、オンラインがそれを補ってくれると思っています。

これからのこと-今年、ウィルスの影響で、業界の動きが少し鈍くなってしまったという話を何人の方から聞きました。
そのことが、今後のリリーススケジュールにどのような変化をもたらすのか、個人的には興味があります。
また、友人や家族とボードゲームを遊ぶ楽しさを知り、新しくファンとなった人を歓迎したいと思います。

日本のみなさんの健康と安全を願っています。
私のゲームをいつも楽しんでくれてありがとう。
いつか日本にも訪れたいと思っています。